鎌倉の名物食堂COBAKABAの魅力の理由を感じる

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今回のサシモニのお相手は鎌倉でCOBAKABAという食堂を8年間営業する傍らシンガーソングライターとして日々の暮らしの中で音楽活動を続けている内堀敬介さん。通称UPPON(ウッポン)さん。鎌倉では知らない人がいないくらい素敵な朝食やお昼の定食を出すCOBAKABA。どのようにして今のスタイルのお店となったのか。UPPONさん自身の過去のストーリーも根掘り葉掘り聞いてみました。スターバックスコーヒーで働いていた時代の話は今まで聞いたことがなかったので、知らなかった一面もたくさんありました。そんなUPPONさんの話。あまりにも長くなってしまったので、今回は特別に2回に分けてお送りします。

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スターバックスとの出逢い

-今ではイケてる食堂のオヤジのイメージがあるUPPONさんですが、元々は新卒からスターバックスコーヒーで働いていたとのこと。この話だけでも意外なのですが 、、どうしてスターバックスで働くことになったのでしょうか。

「スターバックスでは新卒から8年間働いていたよ。1999年に入社して、当時はまだ全国に30店舗ぐらいの時代。新卒の2期目だったね。元々コーヒー豆やコーヒー生産地に興味があった。学生時代にバックパッカーとして旅行してアジアの山奥とか回ってさ。現地を訪れたときに、子供たちの目のキラキラ感とか、お金じゃない豊かさに触れたね。人間の本質的なものを感じた。」「貧しいけれど豊かな暮らしを感じられる。音楽が暮らしに寄り添っている。カフェが好きなのもあったけど、音楽が普段の暮らしの中にある地域にはなぜかコーヒーというアイテムがあって、コーヒーにも魅力を感じたんだよね。人間の本質を感じる日常にあるものが好き。」

-面白いですね。魅力の感じ方って色んな形があるものです。では、すんなりとスターバックスに入社されたのでしょうか。

「バンド活動もやってたし就職活動はあんまり積極的じゃなかったんだよね(笑)。ただ、さっき伝えた通りコーヒーには魅力を感じていて、日本のコーヒー商社とかも回ったよ。そんな中でスターバックスの香り高い深煎りコーヒーに出会い魅了された。あとどこに就職するかを考えたときにその場の空気感も大事だと考えた。そういったことを考慮した上で、スターバックスで働きたいと思ったんだよ。センスの良い音楽や家具や自由で気さくな雰囲気、コーヒーだけでなくライフスタイルそのものを提案していたのが新鮮で格好良くて、可能性も凄く感じたよね。」

-どういうことなのでしょうか。その場の空気を大事にするって。気になるところです。

スタバで日本初の取組み

-スターバックスに入社されたUPPONさん。具体的にはどういう働き方をされていたのでしょうか。

「スターバックスでは、入社半年ぐらいからほぼストアマネージャーとしていろいろなお店を経験させてもらったよ。当時の外食では珍しかった自由な社風で従業員に一定の裁量を与えられていたんだよね。一人ひとりの尊敬と威厳も大切にしていた。一人ひとりが自分で考えて、お客さんに楽しんでもらうことができたんだよ。」「スターバックスが大切にしているサードプレイスという概念にもとても共感した。サードプレイスとはコミュニティにおいて、 自宅や職場とは隔離された、心地のよい第3の居場所。私もレンバイ野菜市場とか商店街とか地域社会に育てられたからそんなコミュニティを作ることが楽しかった。音楽好きが高じて店舗内でLIVEを始めたりもしたよ。」

-スタバの店舗内でLIVEですか。COBAKABAでもLIVEが行われていることがありますが、当時から似たようなことをされていたんですね。

「数値的なマネジメントよりもそういうのが得意だったから。。地域コミュニティに貢献していくことばっかりやっていたかも(笑)スターバックスは地域の一員になることを大切にしていたからオフィス街や住宅街等様々なロケーションに合わせてお店を作ったり。だから日常の中で欠かせないインフラとなったんだと思う。街の風土を活かして地域に溶け込んだお店作りをすることはとても大切だと思う。」

-地域コミュニティに貢献していく。スターバックスって確かに他のカフェではあまりしないような、コーヒーの淹れ方講座等をよくやっていくのも見ますよね。あのような活動も、地域コミュニティに貢献する一つの形なんでしょうね。素敵です。どうして、そのような活動がUPPONさん自身好きなのでしょうか。

「母親の影響があると思う。七夕だったり節分だったり誕生日会だったり、とにかくイベント好きの母親だったから、誕生日会では近所の子供たち集めてお寺の庭に棒を立ててパン食い競争したりね(笑)今でもCOBAKABAで地域の子どもたちの創作イベントやハローウィンパーティーをやるのも、その延長線だね。」

大きくなることへの葛藤

-ここまでの話を聞いていると、とってもUPPONさんらしく仕事をされていたような気がするのですが、ずっと順風満帆だったのでしょうか。

「スターバックスが大きくなるにつれて、店長や現場に求められるの能力が変わってくる。当然、より高い管理能力が必要になる。そんな中で自分の表現やアイデアに挑戦したい気持ちがうずうずしてきたんだよね。会社から求められることと、自分がやりたいことの間で悩んだこともあったよ。」

-どの業界でもあることだと思いますが、大きくなることによるメリットとデメリットがありますよね。スターバックスの店員さんが携わる人数の桁が変わることで変化していく。その中での葛藤はアーティスト寄りの人ほど感じてしまいそうな気がします。

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自分にしかなれない

-結局スターバックスの社員を辞めて独立したわけですが、どのような転機があったのでしょうか。

「そもそも両親が長年営んでいた“小林カバン店(コバカバの由来)”を料理をしていた姉や母と飲食店にリニューアルする予定ではあったんだけどまだまだ自分に何ができるのか自信がなかった。 会社の中で出世を考えたり、キャリアの先を考えると、会社での役割と自分がなりたい像にギャップを感じるようになった。どこかで無理していたのだと思う。」「そんな中でヨガとヨガインストラクターである今の奥さんに出会ったんだ。当時の自分は空回りして頑張っている状態。奥さんには激流の中をとにかく流されないように岩にしがみついているように見えたみたい(笑)そんなときに、奥さんが「しがみついている岩から手を離したら、激流が静かな場所に押し流してくれるよ。」に背中を押されたんだよね。

-目の前の岩にしがみつく状態って、結構陥りやすいことかもしれません。何のためにしがみついているかも分からず、激流に流されるのが怖くて、とにかくすがれるものにしがみつく。そこから手を離したUPPONさんはどうなったのでしょうか。

「決意してパッと手を離してみたら、案の定わーっと流されて(笑)気がついたら静かな川のほとりにいた。少し時間が経ったら自分自身にしかなれないことに気が付いた。ある意味諦めの境地だけど、それならもっと感性を磨いて自分自身を極めようと思ったね。そこから自分の脚で歩くことが出来るようになった。恐れを手離すことで新しい世界が見えてきたんだね。」

-目の前の岩を離した時に、自分にしかなれないと思ったって素敵ですね。組織からの離脱を考えると、頼れるものは自分自身。でも、そのときに自分自身を極める感覚を持てることって、なかなか出来ることではないんじゃないかと思います。カッコいいな、UPPONさん。

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 -自分COBAKABA。どのような思いでCOBAKABAをスタートさせたのでしょうか。

「社会に出て一人暮らしを始めると、子供の頃は当たり前だった母親が作ってくれた普通のごはんって貴重だなって思えたんだよね。特に鎌倉は観光地だし、ハレのごはんはあってもケのごはんが食べられるお店が意外と少なかった。だから暮らす人の視点で“家族”をテーマにバランスの良いごはんを毎日日替わりで提供する場所が出来たら良いなと思って。なるべくスマートに。」

-ご自身や家族を見つめ直すところから始まったんですね。 他にはどのような構想があったのでしょうか。

「食堂が街の交差点になる。地域社会にとって必要なインフラ的な存在になったらいいなと。その上で行き交う人をちょっと明るくするような地域情報を発信したり、世代間や内外の人が交流できる場所。昔は銭湯とかだんご屋とかが隣の人の会話を聞いて世間を知ったりするような地域メディアだったんじゃないかな。」「私が考える食堂もまさにそういうところ。“コーヒー”もいいけど“ごはん“はすべての人の共通項目でしょ。それにごはんってそれだけで人をつなぐじゃない。ごはんでつながるサードプレイスが出来たら最高だよね。」

-メディアって情報を発信している媒体のイメージしかありませんでしたが、確かに人が集う場所は情報発信基地となっていますもんね。食堂がメディアになる。面白いです。

「あとチェーンストアでは出来ないことにもチャレンジしたかった。実際、普通の家族から始まった食堂ですがスケールメリットではなくそこにいる人たちの感性でどれだけ広がりをもたせられるか現在も実験中。感性はコンピュータには真似できないしね。昔からローカルを突き詰めるとグローバルになっていくんじゃないかなと勝手に思っていてね。根拠はないけど。。」

-スターバックスとは違うやり方で広がりもたせようと思っているんですね。 COBAKABA話になり、ここからさらに色んなストーリーが展開されるのですが、長くなってきたので次回に続きます!お楽しみに!

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